広告、宣伝作りは、これまでの広告、現在の市場ポジション、企業イメージ、競合、トレンド、さらに膨大な資料や調査結果等などから、ターゲット層向けにベストと思われる方向性や表現方法などを提供する・・・のであれば、きっと仕事はスムース。実際は、広告主の意向、予算、担当者の好み、コダワリ、気分等々で、骨抜きになっちゃう事が殆どだとか。それでも、顧客の購買行動や傾向は既に数値化され、一般常識みたいなものがあるから、ちゃんと守らなくちゃいけない基本もあるそうな。
圧倒的に男性客が多い
ゴルフ業界では、当然男性向けのマーケティングを採用。で、男性向けマーケティング基本手法のひとつが、”数値”や”スペック”を”具体的”に明示する方法。数字っていかにも客観的で、説得力があって、自分が今使っている道具が、なんだか古くてチンプに思えてくるから不思議。
日本の
ゴルフ雑誌をちょっと開くだけで、「手にするだけで、+2番手の飛び!」(ヤマハ
ゴルフ)、「3年ぶりとなる優勝を達成した上田桃子」(キャロウェイ)、「ぜんぶ買ったら+40y」(Ryoma
ゴルフ)・・・数字によって、何かクラブが進化した感が伝わってくる。こっち(カナダから発信中です)で
ゴルフのテレビ中継で必ず出てくるのが
タイトリストPro V1とPro V1Xボールの宣伝。中継トーナメントに於ける、
タイトリストボール使用プロ数と次に使用プロ数が多い競合メーカーとの比較広告。今年のUSオープンではこれ。
この宣伝を見るたびに、
タイトリストの人気よりも、2位のメーカーは何処なんだろうと思いを巡らすのが常・・・やっぱりテーラーメイドかキャロウェイかな?
それぞれ、どれも魅力がある”数値”広告だけど、最近ちょっと違和感を持ったのが、日本の
タイトリストドライバーの広告。「アダム・スコット / 917
D2 9.5 384ヤード」、「ジミー・ウォーカー / 917
D2 8.5 408ヤード」、「ジャスティン・トーマス / 917
D2 9.5 409ヤード」・・・これには、ふ~んという感想のみ。前モデルや他社
ドライバーより飛んだ!みたいな比較もないし、409ヤードなんて、どう考えても普通のコンディションじゃないし。それに
タイトリストドライバーって、一発の飛びよりも、総合力が高いイメージだったしな。(更に日本では飛距離重視のVG3もあるし。北米では売ってないけど。)
しかも
タイトリストドライバーの広告には、どーして飛ぶのかの説明もないしな~。例えば大ブレイク中の、キャロウェイエピック
ドライバーの「ジェイルブレイクテクノロジー」とか、テーラーメイドM
ドライバーの「チタン+6層コンポジットカーボンクラウン」などは、なんだか良くわからないけど、”いかにも”飛びそうな気がしてしまう。
ま、たとえ理由がわからずとも、しっかり飛ぶのであれば、それはそれで良し(・・・たとえ広告的には☓でも)。917ドライバーは、ちょっと旬を過ぎた感があるけど、最近タイトリストドライバー打ってないし、広告で強調される飛距離性能を、しっかり試打してデータで確かめてみよう!
スペック:
クラブ:タイトリスト 917 D2ドライバー
9.5度
シャフト:フジクラ スピーダー 74 ツアースペック
フレックス S
あれ?今までフジクラ "プロ"はあったけど、”スピーダー プロ”が増えてる。
日本にもある”スピーダー エボリューション”や”プラチナム スピーダー”もあるから、こっちでも人気の”スピーダー”シリーズを充実させたのかな?ちなみにスペックは78gで、トルク3.2。メーカーによると中調子で、中弾道。
ボール
スリクソン Z-Star XV 2016年モデル
ご承知の通り、D2が460ccで許容性が、D3は440ccで操作性が高いそうな。
ついでにこっちも。
もう一発、シュアフィットも。
データ:
(明らかなミスヒットを除く、5球平均値)
データ補足:ー試打クラブに装着されていたのは、ドロー用のシュアフィット。元々、引っ掛けグセがあるので、全体的に左巻き弾道が多かった。
ーメーカーの設計意図通り、460ccのD2ドライバーは弾道高めで、キャリーも出る。440ccのD3ドライバーは、D2ドライバーよりも低スピンで、低めの弾道。しかしトータルでの飛距離はD2,D3でほぼ同様。
ー最長キャリーはD2ドライバーの247ヤード。最長トータル飛距離もD2ドライバーの271ヤード。やっぱりヘッドが大きい分、D2には一発の飛びもあり。
ー前述の通り、左に巻かないように、頑張って意識して打ったけど、数値で見るとスイング軌道が完全にアウトイン。いつもはここまで酷くはないんだけどな。ドロー用シュアフィットとスピーダーシャフト+悪癖の組合せによるもの?
ー前作915ドライバーで気になった金属音もおさまって、917ドライバーは、心地より打球音に。それに相変わらず打感はいいな~、ボール離れ早すぎず、遅すぎず、硬すぎず、柔らかすぎず。
ー左への苦労があったものの、D2もD3も、距離、高さ、スピン量などのデータ数値が良く揃って、とっても実戦向き。打球音、打感、性能・・・やっぱり総合力高いわ~。
今週のコンペに持っていくなら:
僕が試した中で、最も飛ぶ組合せの、2016年M2ヘッド+ハザーダスシャフト(記事は
こちら)が、平均キャリー251ヤード、平均トータル飛距離274ヤード。これには及ばないものの、コブラF7+ドライバー(記事は
こちら)やミズノJPX-900ドライバー(記事は
こちら、ユピテルスイングトレーナーがメイン)などと比較しても、良く飛んでる。しかし、ジャスティン・トーマスの409ヤードとは数光年かけ離れており、イスカンダルから波動エンジンの設計図入手が必要。
シュアフィットと、ホーゼルでありとあらゆる組合せを試してみたいが、今回の試打結果からは、D2ドライバーの安定感と総合力が魅力的。
試打後記:
広告宣伝手法って沢山あるけど、本能としての恐怖心を利用する広告宣伝は、動物的にどうしても気になる。最たるものが、”汗のニオイ”系の広告。事実として、誰でも、夏は汗かくし、当然薄着だし、少しずつ年も取るから、もしかしたらヤバイのかな~と思わせる絶妙な仕掛け。しかも最後に『自分では気づかない・・・』などとボケっと観ていたテレビCMに、不意に後頭部を鈍器で殴られた上に、感性まで完全否定され、「お、俺はダメだったんだ」と人間性崩壊直前にまで追い詰められた次の瞬間、笑顔でワキの下にシュー。「・・・か、買わなくちゃ」。もう少しポジティブになれる宣伝つくってくださーい。
ゴルフ用品ではないけれど、『自分では気づかない・・・』以上にショックを受けたのが、先週の週間ゴルフダイジェストの記事タイトル・・・(この後、問題の記事タイトルを書きます。心臓の弱い方はこれ以上、読み進めないで下さい)・・・タイトル、『シャフトが合わないと一万発打っても上手くならない』。え~!僕の数年間のドライビングレンジでの練習はおろか、今までゴルフダイジェスト自身に掲載したレッスン記事も全否定?!まずシャフトを合わせないと、何をしてもダメなの・・・。これから先、何を信じて練習すればいいんだろう?この記事タイトルで、何人のゴルファーがゴルフクラブを静かにしまい込み、隠遁生活に入ったことか・・・。楽しみに読むゴルフ雑誌ですよ、記事タイトルぐらい、もう少しポジティブにしてくださーい。
気になったら 価格チェック:
タイトリストドライバーは無条件でカックイイし、総合力も文句なし。